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もう消してしまった前のブログにも書いたことがあるのですが、
更科さんの愛読書のご案内です。
ラフィク・シャミ『夜の語り部』
この本に出会ったのは大学生のときでした。
今だから言える事ですが…、
レポート提出の為だけに急いで神保町の書泉グランデで探して、
自分では読まずに買ったその足で恩師に
「先生、この本読んで2000字以上でミヒャエル・エンデと比較した論文書いて」
と、あろうことか恩師にゴーストライターを頼み、
その裏で私は課長バカ一代という漫画が
どれだけ素晴らしいかという論文を2000字で書いていたというのも、
今となっては良い思い出であります。
ちなみに課長バカ一代を褒め称えた論文は無事にパスして
恩師が書いてくれた論文は無駄になりました。
先生、悪徳に染めるだけ染めて昇華出来ずごめんね。
でもその悪徳を提案してくれたのは紛れもない先生でしたね。
世渡りの一種を教えてくれてありがとう。Ich liebe Lehrer!
要するにドイツ児童文学比較論文は単位取れなかった(笑)
それは恩師が悪いのではなく、
授業に一回も出ないで論文だけ提出して、
マンガイチ単位取得できたらラッキー♪
くらいに考えていた私に全面的に非があります。
そんなワケで私にとって『夜の語り部』は、
後ろめたくもないんだけど(なりふり構わず卒業に必死だったから)
なんとなく『本棚の奥底コーナー』に入れてしまいました。
マトモに読んだのは奇跡的に大学卒業出来てから2年後ほど経ってからでしょうか。
本棚から「今読みたい気分の本」が、どーしても見当たらなくて、
本棚に頭突っ込んだら『夜の語り部』が出てきたので読んでみました。
うーん。
一回、読み終わった後から死ぬまで私の愛読書になること必定と感じましたね。
ファンタジー文学、子供向けの話だとは思ってはいけない本でした。
自分が生まれる前のシリアの政治情勢、リアルな生活を、なんとかなんとか高校生のときの世界史の授業のみで培ったヘタレ知識で補って想像しなければならなかったし、まろやかな文体だけど書いてある内容は暗黒小説と並ぶくらい、救いが無かったりする描写もある。
幻想ではなく現実を突き付けられた気分になります。
私は大学生のとき、大学生を辞めたくて辞めたくて辞めたくて辞めたくて仕方なかったのです。
辞めればよかったんだけど、辞める事も出来ないほど気力が無かったんですね。
何かを「辞める」という作業も思いのほかエネルギー使うし(笑)
そんな感じで大学生活は良い思い出が殆ど無いのですが、(学校よりSMクラブの方が休まなかったと思う)
この本と作者の存在を知れたことだけでも、行ってよかったのかな、と今なら思えます。
というオチの無い話でございました。
えーと、何が言いたいかと言うと、ラフィク・シャミの本は、そのくらい
「性」とかけ離れた次元で私の琴線に触れるのでございます。
平易に言うとトリップ出来るのです。
(文庫化されればいいのに。ハードカバーは旅には重いです。)
でも人気ない本は文庫化されないのが出版業界の掟。
課長バカ一代についての論文は
「この見せゴマが素晴らしい!」って事をメインに書いた覚えがある。。。